OSAMUGOODS COMPANY

OSAMU'Sマザーグースのキャラクター達が、9編の楽しい物語の主人公になったスペシャルブック。
ファンなら誰もが枕元に置いていた本、『BEDTIME STORIES』をご紹介します。

● お台所より愛をこめて オールド・マザーグース

酒井 チエ

P.160-163

おしまいに

ニューヨークにおります小さな孫から、一昨日わたくしのもとへ手紙が参りました。これまでは名前と絵を描いたカードだけしか受け取ったことがございませんでしたので、このめざましい成長ぶりには主人もわたくしも本当にびっくりさせられたことでした。
Nがひとつ裏返しになっておりました以外には、綴りの間違いはありませんでしたのよ。あら、いやですわ、わたくしそんなに嬉しいそうな顔をしてますかしら。いけませんわね、これではいよいよ本物のおばあさんになってしまいますわ。

この手紙がなんと、チェスの試合をいたしましょうという挑戦状でございました。ロバートは確かに5才になったばかりだと思います。子供に限らず誰でも、またどんなゲイムでも、覚えたてというのは面白くて仕方ないものですわ。「もう一回」「もう一回だけ」「これが最後」なんて。
毎日つかまってお相手をさせられるほうはちょっとつらいのですけれど、でも、あのわくわくした夢中になる気持ちはわたくしにもよく判ります。ですから勿論この挑戦は受けて立つことにいたしました。「手加減はしませんよ。」と、あの子に電話で言ってやりましたの。
わたくしのチェスの腕前でございますか?なにせ5才の坊やのお相手に選ばれるくらいですから……もうお恥ずかしい限りでございます。

「幸い」なんて申しましたらあのひと気を悪くするでしょうけれど、主人は今朝早く、というよりも暗いうちから鱒釣りに出掛けて行きました。それでわたくしは日曜日の夕方まで、気ままなフィッシャーマンズ・ウィドウという訳なのでございます。
これからひとりで早速ニューヨークまでドライヴをしようかと思いますの。わたくしの白いがちょうさん、エンジンの御機嫌も大変良ろしいようですし。はいはい分かっておりますとも。パトロール・カーには、いいえスピードには、くれぐれも気をつけて参ります。

では皆様ごきげんよう。最後までわたくしの脱線お料理講座にお付き合い下さいましたことを感謝いたします。
またお目にっかれます時をお楽しみ。

 

OSAMUGOODS STORYより「OSAMUGOODS BEDTIME STORIES」

ー あとがきより ー

マザーグースのうたをテーマに、OSAMU GOODSのキャラクター達が生まれてから、早くも十年近く(サイト編集部注:この本が出版された1984年時点で)たちました。

皆さんに可愛いがっていただいた彼らも、すこしずつ生長したようです。
このたびは、彼らのひとり一人を主人公にして、楽しい物語を書いてもらうことになりました。

たとえば、いつもへいの上から転落ばかりしていた、あのハンプティ・ダンプティは、安西水丸さんのハードボイルド・タッチによって颯爽たるダンディ(?)に変身し、いつも丘の上の井戸に水を汲みにいっていたジャックとジルは、鈴木海花さんの筆によって、ロマンチックなラブロマンス物語のヒーローとヒロインにしていただけました。
他のキャラクター達もそれぞれに、素晴らしいストーリーを演じることができて、さぞかし喜んでいるに違いありません。

この本を名付けて、オサムズ・マザーグースの「ベッドタイム・ストーリー」。あなたが、夜おやすみになる前に、ひとつづつお読み下さい。そして、その後に見るあなたの楽しい夢の中で、彼らも一緒に遊んだり話したりして、あなたの親友の仲間に加えられることを願っています。

おやすみなさい。

原田 治