OSAMU GOODS STORY

Vol.05

MAKING OF OSAMU GOODS

Bali-hi

このバッグは、世界各国でぼくの好きな場所(勝手に選びました)シリーズの中のひとつです。他はパリだのニューヨークだの実際にある地名でしたが、この「バリ・ハイ」だけは架空の島の名前です。

戦後のアメリカでヒットしたミュージカル『南大平洋』で、幻想的に現れる島なのです。また数々の名曲ぞろいの中でも『バリ・ハイ』は有名な歌曲です。作曲リチャード・ロジャース、作詞オスカー・ハマ-スタイン2世。

ぼくが観たのは、舞台が映画化(1958年20世紀フォックス)された方で、中学2年の時でした。南太平洋といっても撮影したのはハワイのカウアイ島です。北の湾から望むと海上に奇妙な形をした島があります。雲がたなびき、切り立った山の姿も神秘的なバリ・ハイ島でした。
後でこの島だけは、合成した書き割りだったと知って、ガッカリしたのですが、それでもめげずにこの島を憧れつづけていました。何故ならこの島にはフランス・ニュイエンという中国人の若い女優さんが演じる、トンキン人の島娘が住んでいたからなのです。
ジャングルの中の竹でできている家に住んでいて、「ハッピー・トーク」というこれまた名曲で、トロピカルな滝のシーンで、可愛い振り付けで踊ります。これに十代のぼくはすっかり魅了されてしまったのでした。

大人になってカウアイ島の撮影現場のビーチにあるホテルに泊ったら、そこのBARの名前が「ハッピー・トーク・ラウンジ」で、演奏は「南太平洋」のナンバーばかり。
そこで椰子の葉ごし、湾に夕陽が沈んで、冷たいトロピカル・ドリンクにほろ酔いになった頃、「バリ・ハイ」の曲が流れた時には、はっきりと水平線上に浮かぶバリ・ハイの島影がぼくの目には見えた(ような気がした)のでした。

今回はキャラクターとは全然カンケイ無しでしたね。夏が来るといつもこの映画を観たくなるので、つい話してしまいました。

関連記事 「原田治ノート」より

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