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釧路市立美術館にて開催中!『原田治 展「かわいい」の発見Osamu Harada: Finding “KAWAII”』の初日をレポートします。

8/31 (土) より釧路市立美術館にて『原田治 展「かわいい」の発見Osamu Harada: Finding “KAWAII”』が開催中です。初日は台風の影響であいにくの空模様でしたが、待ちに待った展覧会に対し、期待に胸を膨らませた来場者の熱気で会場全体が包まれました。

本展を担当された釧路市立美術館の学芸員 沼前さんにお話を伺いました。

「釧路市立美術館は、生涯学習の拠点として立てられた釧路市生涯学習センター(まなぼっと幣舞)の3階に位置しています。施設内にはコンサートホールや工芸スタジオ、陶芸のできる窯室や学習室があり、展覧会にちなんだワークショップの開催や作品解説を行っています。複合施設の利点を活かし多様な方に開かれた美術館を目指しています。
また釧路市内の小中学校が来館を希望される際は、美術館が所有している「まなぼっと号(バス)」でお迎えして授業を行うなど、地域に根ざした活動も行っています。

当館は年に3回の特別展と所蔵作品を中心に企画するコレクション展を開催しています。コレクションは釧路で活躍する作家や釧路ゆかりの作品を所蔵しており、研究も行っています。

『原田治 展「かわいい」の発見Osamu Harada: Finding “KAWAII”』は、本年度最後の特別展です。
開催にあたってですが、釧路ではミスタードーナツが併設された書店が昔からあります。つまりはOSAMU GOODSに馴染みがあり、釧路開催は多くの方に興味を持っていただけると考えました。

原田治の仕事の全貌を紹介する展覧会ですので、熱心なファンの方はもちろんのこと、OSAMU GOODSがきっかけで展覧会に興味を持った人たちが、イラストレーターの仕事やグッズの成り立ちを知ってもらえる機会になればよいなという思いで開催しています。

本館は年齢層の高い方のご利用が多いのですが、『原田治展』をきっかけに、普段は美術館へあまり足を運ばない方や若い世代の方も、展覧会を楽しみながら釧路市立美術館を知っていただけたらと思います。」

  • 市内を一望できる幣舞(ぬさまい)の高台に、生涯学習の拠点として立てられた釧路市生涯学習センター(まなぼっと幣舞)。釧路市立美術館は3階です。

  • 釧路市生涯学習センター展望台からの眺め。釧路川の最下流部にあたるこの場所に、北海道三大名橋のひとつ幣舞橋があります。

釧路の夕日は、世界三大夕日の一つとして知られています。展覧会初日は暴風雨でしたが、夕方一瞬の晴れ間から夕日を見ることができました。釧路川を悠々と流れ、太平洋へと続く夕日は、息をのむ美しさでした。釧路を訪れた際は『原田治展』とともに、この美しい夕日を目にしてみてください。

Introduction

1970年代後半から90年代にかけて、女子中高生を中心に爆発的な人気を博した「OSAMUGOODS(オサムグッズ)」の生みの親、原田治(1946–2016)。

50〜60年代のアメリカのコミックやTVアニメ、ポップアートなどから影響を受けたイラストレーション―とりわけ、簡潔な描線と爽やかな色彩で描かれたキャラクターたちは、その後の日本の“かわいい”文化に多大な影響を与えました。

没後初の全国巡回展となる本展では、イラストレーターとして活動するきっかけとなった、1970年代「an・an」の仕事をはじめとして、広告・出版・各種グッズなど多分野にわたる作品を中心に、幼少期~20代前半の初期資料や、エッセイ集『ぼくの美術帖』関連資料も交えて展示し、時代を超えて愛される、原田治の全貌に迫ります。

EXHIBITION

展覧会が始まります

美術館会場に到着すると、艶めく柱の前に立てられたネオンサインと、キラキラ輝くシャンデリアに目が止まります。来場者を出迎えるこの華やかな演出について、設計を担当した五十嵐瑠衣さんにお話を伺いました。
「生涯学習センターのエレベーターで3階の美術館へ降りると、目の前に柱があって艶のある素材感も相まってとても目立つんですね。その柱の前に「展示室はこちら」の看板が置かれていました。ネオンサインはそもそも案内の役割があるので、看板を移動させて柱の前にジャックのネオンサインを置くことにしました。ネオンの明かりをつけるとインパクトがあるので、来場者は自然と明るい方へ誘導されます。シャンデリアの照明は普段つけていないそうなのですが、建物の特徴やユニークさは絶対出した方が良いと思っていて、つけてもらうことにしました。
展覧会入り口まで、ジャックのネオンサイン→シャンデリア→ジルのネオンサインの流れを作っています。建物の雰囲気を含めて、展覧会をお楽しみください。」

 
 
 

設計を担当した五十嵐瑠衣さんに会場の特徴や見どころについて伺いました。

「釧路市立美術館の会場は形が円形です。円形に沿って壁を作っていくと展示物が納まらないので、壁をギザギザに立てています。それに加えて、中の空間に展示物が収まる長さの壁を入れることで、自然と形ができます。そういう流れで会場全体が決まっていきました。

展示室が円形なので壁やブースに向きがつき、空間の距離が長くなったり短くなったりすることで、予想できない動線になっています。

展示ブースに立つと、ずっと先の方まで見渡すことができます。視界の先には壁や立体物、作品やがレイヤー状になってちら見えします。
作品の見える方向に行くと視界が一気に開けて展示ブースがボンっと広がる。展示を楽しんだ後、辺りを見渡すと全部は見えないのだけど先がちら見えする、これが繰り返し展開されます。ブースは展示を観る場所であるのと同時に先を誘導する役割もあります。
四角い展示室で作るより、円形の展示室はそういった効果が出やすく、設計していて面白いと感じました。

「かわいいの発見」コーナーは、中に入ると正面に見える壁が真っ白なので、一瞬驚くかも知れません。見渡すと展示が見える仕掛けになっています。これまではグッズが一望できる展示にしていましたが、今までにない展開にしました。その驚きを楽しんでもらえたらと思います。

来場者が語る「原田治展」の魅力

札幌開催を知って凄く行きたいと思っていて、釧路の巡回を待ちました。OSAMU GOODSも知っていたし、ポテトチップスのキャラクターも知っていたけれど、原田さんの名前を認識していなくて、同じ人だったんだ!と今回初めて分かりました。ニューヨーク滞在中に描いたスケッチが壁紙になっているのが凄くかわいくて。自分の部屋の壁紙にしたいって思いました。全く違うテイストのイラストが沢山あって、新たな魅力発見になりました。(続く)

(続き)色指定が展示されていて面白かったです。あんなに細かく番号で指定しているんですね。分からないことがあったら直接聞いてくださいって、連絡先が書いてあったりして。作者の言葉がダイレクトに伝わってくるなと思いましたし、こういう発見は展覧会に来てこそだなと思いました。

中学生の時からOSAMU GOODSのをいっぱい買っていました。「かわいいの発見」ブースで展示されている、レターラックにスクールバック、コームなど持っていましたね。ちょうど中学2〜3年生のころかな…40年くらい前ですね、懐かしいです。イラストレーターの原田治さんを知っていましたが、かわいい絵しか描いていないと思っていたので、リアルなイラストや風刺の効いたイラストを観てびっくりしました。益々ファンになりました。(続く)

(続き)私が学生のころ、縦長のコームを制服のポケットにさしてキャラクターの顔を覗かせるのが当時のトレンドでした。スクールバックに体操着やジャージを入れて、鞄の持ち手に引っ掛けて通学する。お弁当もOSAMU GOODSのお弁当箱で、それをOSAMU GOODSのバンダナに包んで。オシャレ女子の必須アイテムだったんですよ。クラスの女子はみんなスクールバックを持っていたから、凄いブームでしたね。

CMで札幌開催を知って、8月に行ってきました。釧路でも開催することを知って、これもぜひ行こうじゃないかと。2度観ることでこんな展示もあったのかと新しい発見がありました。原田治さんの歴史が凄いですね。とても努力していたんだなと感じました。見る人の気持ちを考えながら、絵のタッチを変えていたんですね。「広告・パッケージの仕事」のパッケージイラストに「腕まで描かないと皿を支えているように見えません」って指示が書かれていて、なるほどなと思いました。

北海道を観光中で埼玉県から来ました。知らない間に原田さんのイラストやグッズを見ていたこと、それくらい街に浸透してたことを思い出しました。作者の人となりよりも、作品そのものが前面に出された展示だったことや、原田さんの自身のあり方が作品テーマに重きを置いて制作していて「自分を出すより作品」という姿勢が凄くいいなと思いました。全ての対象にちゃんと距離があって、その距離をどういうふうに埋めるか、距離を保ち続けるかっていうことに意識的で、だからこそ全てが仕事になっていく。器用だし努力家だと思いました。(続く)

(続き)渋谷の街であるだとか、銀座の松屋の近くにあるビルとか…子どもの頃「あ、これって大人の世界だな」って思っていた街が細かくイラストと地図で描かれていて。その作品をみた時、急に子どもだった時憧れていた世界とか、お母さんに連れて行ってもらった青山や銀座の場所とか。自分より年上の人たち、お姉ちゃんが持っていたものとか。中学の時図書委員だったんですけど、図書室の匂いとか学校の古い雑誌コーナーを思い出したりとか。この展示がきっかけになって、そういう全く関係のない記憶に接続して、匂いや感触までもわっと出てきたのが面白かったです。

80年代が中学生・高校生だったのでOSAMU GOODSは知っていました。女の子が持っていてかわいいな、流行っているなって。原田治さんの名前は、当時知らなかったです。モノが先で軽薄な高校生でした(笑)観覧していると『an an』を何気に見ていたことなど、当時の記憶がフラッシュバックしてとても楽しかったです。何度か戻って展示作品を観ました。本展で体験したことは音楽に似ているなと思いました。あの頃の音楽を聴くと、その時代に戻る…そういう感覚です。(続く)

(続き)どの作品も素晴らしかったのですが「かわいいの発見」が印象に残りました。展示室に入ると正面が白壁で。左を見ると壁面にグッズがボンっと並んでいて、右を向くと2面に渡ってグッズがずらっと並んでいる。グッズを塊で見せているところや展開にグッときました。展覧会の構成も素晴らしかったです。音楽アルバムみたいに1曲目から12曲目までを流れるように観てきて、最後の言葉で感じ入りました。会期中もう一度きて観たいと思っています。

展覧会はよく観に行きます。『原田治展』が釧路に巡回することを知り、OSAMU GOODSは馴染みがあったのできました。『an an』の表紙やコラムのイラストなど、グッズを手がける前の作品は知りませんでした。キャラクターのイメージが強くて、いろんなテイストのイラストレーションを描いていたことが意外でした。『生き物の記録』の仕事を見て、最後にこの作品を紹介するのか!と驚きましたし、映画も観てみたいと思いました。(続く)

(続き)映画『地下鉄のザジ』が好きだったと紹介されていましたが、私も大好きな映画です。「原田治ノート」の紹介文に「こんなに可愛い映画は、それ以前もそれ以後も絶無!」って書かれていて。皆無じゃなくて絶無!そんなに好きだったんだね、と話していたんです。グッズにも登場していて、なんだか嬉しかったです。原田さんの描いたザジはちゃんとすきっ歯になってるんですよね。凄くかわいい!

 
 
 

特設ミュージアムショップ

展覧会の後は、ミュージアムショップで「かわいいの発見」を楽しんで!DUSTY MILLERの復刻グッズやコラボアイテムなど多数取り揃えています。オンラインショップで一部取り扱いがあるので、買い逃した方はこちらをチェックしてみて。 ※要観覧券、ミュージアムショップのみのご利用はできません

会期中のイベント&ワークショップ

  • 原田治展ワークショップ「オリジナル缶バッジを作ろう!」を開催

    ※ワークショップは終了しました

    原田治さんのキャラクターが描かれた下絵に色を塗り、自分だけの缶バッジを作りましょう。
    開催場所:美術館ロビー
    日程:10月5日(土)、10月6日(日)
    時間:13:30-15:00(受付時間:13:30-14:40)
    参加費用:無料ですが、観覧券が必要です。
    持ち物:不要
    ※缶バッジの作成はお一人につき1個までとなります。
    ※事前のお申込みは不要です。受付時間内に美術館ロビーへお越しください。

  • 学芸員による『原田治 展「かわいい」の発見Osamu Harada: Finding “KAWAII”』ギャラリートークを開催

    作品の見どころや成り立ちを知ると「かわいいの発見」がさらに楽しくなりますよ!この機会をお見逃しなく。
    日時:10月12日(土)11:00 集合場所:釧路市立美術館ロビー ※事前申込不要・要観覧券

レストランコラボメニュー

生涯学習センターまなぼっと2階の「コーヒーフロアパティオ」にてコラボメニューを提供いたします。
会期中、カプチーノ(シナモン入り)にOSAMU GOODSキャラクターが登場します(全2種類。絵柄は選べま
せん)。この機会にぜひ足をお運びください。

期間:8月31日〜10月27日(休業日を除く)
場所:コーヒーフロアパティオ(生涯学習センターまなぼっと2階)
※写真はイメージです
※混雑状況等によってはご提供までにお時間を頂戴いたします
※問い合わせ先:釧路市立美術館(0154-42-6116)

釧路市立美術館

〒085-0836 北海道釧路市幣舞町4-28
生涯学習センターまなぼっと3階

【交通アクセス】
徒歩…JR釧路駅から約20分
バス…くしろバス停留所「釧路三慈会病院」下車徒歩約1分
釧路空港からバス…空港前停留所から約45分、
MOOバスターミナル下車徒歩約5分

TEL:0154-42-6116

URL:https://event.hokkaido-np.co.jp/osamu/

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