collectable book
OSAMU GOODS STYLE
日本のキャラクターグッズの原点ともいえる「オサムグッズ」。1万点を超えるその作品の中から、原田治氏自身が選んだ200点を紹介した幻の作品集(2005年刊)の待望の復刊です。初版発行後、あらたに執筆された作品エッセイを追加収録した増補改訂の決定版です。
OSAMU GOODS STYLE (増補改訂版)
著者:原田治
出版社:パイインターナショナル
発売日:2021/06/14
ISBN:978-4-7562-5502-0 C0071
定価:本体2800円+税
このバッグは、世界各国でぼくの好きな場所(勝手に選びました)シリーズの中のひとつです。他はパリだのニューヨークだの実際にある地名でしたが、この「バリ・ハイ」だけは架空の島の名前です。
戦後のアメリカでヒットしたミュージカル『南大平洋』で、幻想的に現れる島なのです。また数々の名曲ぞろいの中でも『バリ・ハイ』は有名な歌曲です。作曲リチャード・ロジャース、作詞オスカー・ハマ-スタイン2世。
ぼくが観たのは、舞台が映画化(1958年20世紀フォックス)された方で、中学2年の時でした。南太平洋といっても撮影したのはハワイのカウアイ島です。北の湾から望むと海上に奇妙な形をした島があります。雲がたなびき、切り立った山の姿も神秘的なバリ・ハイ島でした。
後でこの島だけは、合成した書き割りだったと知って、ガッカリしたのですが、それでもめげずにこの島を憧れつづけていました。何故ならこの島にはフランス・ニュイエンという中国人の若い女優さんが演じる、トンキン人の島娘が住んでいたからなのです。
ジャングルの中の竹でできている家に住んでいて、「ハッピー・トーク」というこれまた名曲で、トロピカルな滝のシーンで、可愛い振り付けで踊ります。これに十代のぼくはすっかり魅了されてしまったのでした。
大人になってカウアイ島の撮影現場のビーチにあるホテルに泊ったら、そこのBARの名前が「ハッピー・トーク・ラウンジ」で、演奏は「南太平洋」のナンバーばかり。
そこで椰子の葉ごし、湾に夕陽が沈んで、冷たいトロピカル・ドリンクにほろ酔いになった頃、「バリ・ハイ」の曲が流れた時には、はっきりと水平線上に浮かぶバリ・ハイの島影がぼくの目には見えた(ような気がした)のでした。
今回はキャラクターとは全然カンケイ無しでしたね。夏が来るといつもこの映画を観たくなるので、つい話してしまいました。