OSAMU GOODS STORY

Vol.31

MAKING OF OSAMU GOODS

MUG

このマグカップは、20年くらい前のものかな。各キャラクターの揃い物で、マグの地色もそれぞれが別の色を揃えました。たまたまこの猫は黄色の地色でしたが、当時ファンシーグッズ屋さんでは黄色が最も売れない、人気のない色だったのです。

データによっても、これはキャラクターへの好悪とは関係なく、色自体のモンダイなのでした。黄色は人から嫌われて、いつも売れ残る。それを承知で、いつも色替えの必要なアイテムには、圧倒的に売れる色のピンクやミントの他に、黄色も入れていました。というのも、ただぼくが個人的に黄色好きだったという、まったく勝手な理由からなのでした。一人で黄色応援団の団長なのでした。それでも黄色はゼンゼン売れなかったけれど。

黄色と同じく売れなかった色は、当時ブルーでしたが、それでもやや年齢の高い女のコにはブルーが好まれていたようです。黄色だけはいつしか営業の人から鬼っ子扱いされて、可哀相でした。チェッ、また黄色のモノがあるんですかァと。
やがて時代の好みが変わって、今は黄色い商品も一般化してきましたが、流行色というものは、考えてみると不思議で面白い現象ですね。大勢の人を相手にするデザインの仕事の難しさをリアルに教えられました。世の中は、くやしくて痛い思いをしてこそ、学ぶこともあるわけです(ぼくは学ばないけどね)。

で、この黄色い猫のマグは、売れ残り品をぼく自身が愛用していました。人目をはばかりながらこっそりと、ですが。コーヒーには、この黄色がコーヒー色にピッタリ合うし、コーヒーも映えて美味そうにも見えてくるのになァ、などと一人負け惜しみをいいながら、深入りのフレンチローストのコーヒーを飲んでいました。つまり判官びいきというわけ。