OSAMU GOODS STORY

Vol.34

MAKING OF OSAMU GOODS

OSAMU’S MOTHER GOOSE 3

前回のハンプティ・ダンプティの次のページには、塀の上から落っこちたハンプティ・ダンプティが、なにしろ卵なのですから、すぐ割れてしまうシーンを描かなくてはならなかったのです。

しかしどうも原作のままだと可哀想なような気がして、粉々になったハンプティ・ダンプティの絵は描きたくない。なので日本語訳をしてもらう時にぼくから注文をつけさせてもらって、結局ハンプティ・ダンプティは落ちたにもかかわらず、割れちゃうほどの大惨事にはいたらず、軽傷で済んだ事にしてもらいました。

絵では救急車に気絶したハンプティ・ダンプティが運ばれてゆくシーンになっています。この絵本では助かったことになりました。しかし本来の詩の教訓的な意味、一度壊れたものはもう元には戻らない、というのが通用しなくなってしまいました。たとえ話にはならなくなったわけです。

それじゃァダメだろォと誰かに突っ込まれた場合の言い訳に、一度変えてしまった話はもう元へは戻らない、と返答するつもりで待機していたのでしたが、幸いこの件では誰からも文句をいただかずにすみました。やっぱりハッピーエンドのほうがいいもんね。
そして、酒井チエさんの詩は、こうなったのです。

ハンプティ・ダンプティ 塀の上にすわってたの。
ハンプティ・ダンプティ みごとに落ちちゃった。

王様のお馬 王様の兵隊さん
ごめんね、僕たち…あんまりお役にたてなくて。

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