collectable book
OSAMU GOODS STYLE
日本のキャラクターグッズの原点ともいえる「オサムグッズ」。1万点を超えるその作品の中から、原田治氏自身が選んだ200点を紹介した幻の作品集(2005年刊)の待望の復刊です。初版発行後、あらたに執筆された作品エッセイを追加収録した増補改訂の決定版です。
OSAMU GOODS STYLE (増補改訂版)
著者:原田治
出版社:パイインターナショナル
発売日:2021/06/14
ISBN:978-4-7562-5502-0 C0071
定価:本体2800円+税
オサムグッズでは、和物シリーズの陶磁器も、あれこれよく作りました。大小のお皿、ご飯茶碗、ドンブリ、お箸に箸置きなど。そして湯呑茶碗いろいろ。
なかでもぼく自身が子供の頃からのお茶好きだったせいか、湯呑茶碗をデザインすることは特別に楽しかったのです。
誰でも家で毎日お茶を飲んでいるはずだから、マイ湯呑茶碗というものがゼッタイ必要でアル。というヘンな理屈で、ヒット間違いなし!営業の人達を煙に巻いて説得し、ついに商品化を果たしたのですが、思ったほどは売れなかったのでした。
調査の結果、若い人は家でお茶をほとんど飲まないのだという実情が伝わってきました。それにお茶は缶入りかペットボトルに入っているモノ、というのがすでに常識化していたんですね。缶やボトルから直接飲んじゃう。
もう日本人は自分でお湯を沸かしてユックリお茶などいれないのだ。それに外食をすればお茶はタダで付いてくることも、お茶の存在感を希薄にする。お店ではタダだけあって、出がらしのマズイお茶しか出してくれないもんね。ますますお茶飲まない時代となる。
この茶碗には色つき透明プラスティックの茶たくを合わせると、さらに可愛いのだと確信して、わざわざオリジナルデザインしたのですが、茶たくは湯呑よりさらに需要が無くて、これはほとんど買ってもらえませんでした。この茶たくで会社における、ぼくの商品企画能力は完全に信用を失ってしまったわけです。
というようなトホホな思い出の一品でしたが、いま見てもホレボレするほどの可愛いらしい湯呑茶碗と茶たくじゃァないかと(一人で)感心してしまいました。