原田治さんが初めて語るオサムグッズの物語。コレクタブルブック『OSAMU GOODS STYLE』に掲載された中から
思入れ深いグッズを取り上げ、キャラクター誕生秘話やグッズ製作への思い等をご紹介します。
この大きなタオルは、真夏のビーチタオルです。夏といえば、白い砂浜、エメラルドグリーンの海、椰子と入道雲。
この景色は、若い日の、夏の定番ですね。オサムグッズのビーチタオルも夏の定番商品でした。
この図案、右端のバナナの葉の描き方は、ぼくが若い頃、洋服デザイナーの友達がつくったアロハシャツをもらったのがあって、そのシャツに描かれた葉ッパを真似しちゃったものです。その友達のくれたシャツも、もともとは古いハワイのヴィンテージのアロハシャツの写しだったと思います。いかにもトロピカルな描き方ですね。
さらによく見ていただくと、平面的な果物類の図柄は、なんとなく50年代ニューヨークの有名なグラフィックデザイナー、ポール・ランド風な描き方をしてあります。ぼくもまた大好きなデザイナーだったので、つい雰囲気だけ真似(とても及びませんが)したんですね。
Jillのキャラクターだけはぼくの絵ですが、デザインの仕事で楽しいのは、自分の好きな先達の仕事を、どこかでオマージュしながら、どこかに取り込んだりできる、密やかでマニアックな楽しみ方ができることです(そっくり真似はいけませんよ)。
ぼくも海が好きだから、海専用キャラクターグッズをつくることも楽しいですね。ただ商品のデザイン製作は、季節の半年前に始めるので、夏用のものはいつもまだ寒い時期に仕事を開始します。それだけに余計、夏の季節到来への期待がこもって、かえって仕事のヤル気が起ってくるのです。空想する楽しみがありますから。
実際もし夏の商品を猛暑の都会にいてデザインしなくてはならなかったとしたら、熱苦しくってやってられないでしょう。そもそも夏は仕事なんかしないでバカンスの季節でしたね。
Have a Nice Summer Holiday!!
