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OSAMUGOODS NEWS

2016年7月2日(土)に原田治さん、OSAMU GOODSコレクター土井章史さん、OSAMU GOODS発案者の石井志津男さんによる『トークショー』が開催されました。OSAMU GOODSができるまでのエピソードや人気グッズにまつわるお話などファン必聴の貴重なトークショーとなりました。その模様をお楽しみください。

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【9】数寄屋橋阪急で行われたOSAMU GOODS展で制作したポスター(画像右)のこと。デザインもイラストももちろん治さんが制作したもの。

原田_これも(OSAMU GOODS STYLE)10年前に出した本。
土井_ここに一番最後に書いてあるんですよ。"かにかくに、今年でオサムグッズは30歳になりました。製作した商品も1万種近くに及び…"って書いてあるんですよ。1万種ってとんでもないですよ!毎日作って30年かかりますからね。1万種ですからね、1万点、じゃなくて。それで"多くの方々に愛用していただき、心から感謝しております。手元に現存していた約4000点の中から、200点余りを自選してこの作品集を上梓しました"って書いてあるんですけど、約4000点ってどういう意味か…
原田_これはね(本を)出す時に僕は持ってないから、手元に。それでこの会社のコージー本舗っていうとこの、元居た営業の人に聞いたら、そのぐらいあるはずだって言う、どっか倉庫に残ってるはずだからって言われて。
土井_この前聞いたのは、毎月20点くらい…
原田_毎月20か30アイテムくらい毎月デザインしてたんですね。
土井_まぁそれが20年間続いたっていう、いい加減な計算ですね?
原田_そういう計算ですね。
土井_…いい加減じゃない相当信憑性のある計算で…僕も集めてたら、あぁそんぐらいあるんじゃないかなって、ちょっとびっくりしたんですけど。これは完全にギネスブックですよ。原田治って人がOSAMU GOODSっていう自分のキャラクターでこんなに商品を作ってるっていうのは。ちょっと、とんでもないっていうか、世界をそんなに見渡してないんだけど、あ、この人は面白い、あ、人じゃなくてこのOSAMU GOODS面白い!っていうか、すげーな!とかって思っちゃって、集めはじめちゃった。コレクター魂が動いちゃったんですね。
原田_コレクターになっちゃった?
土井_この数字に騙されたっていう(笑)。私にとってはOSAMU GOODSってのは後追いで、この中にいる人にも"私はソーダーファウンテンに行きました"ってなんて言われると、ホントに悔しくて(笑)
会場_(笑)
土井_それで、ファンシーショップもほとんど行ってないですから。
原田_だいたい、男の子は行ってなかったんですよ、ほとんど。昔は。女の子しか来なかったですから。違う目で、大人の目でもってOSAMU GOODSを見直してくれたから。
石井_そこが、OSAMU GOODSのすごいところなんですよ、ね。原田さんが今ここにいるのに褒めてもね、ちょっとあれだけど(笑)。
会場_(笑)
原田_いいですよ(笑)
石井_あはは(笑)。なかなかね、褒めるか貶すか分かんないんだけども(笑)。原田さんってのはね、ものすごい…要するにこれだけの絵とか線の1本とか、絵に対しての線の大きさだとかもの凄くね、繊細なんですよ、実は。着てるシャツとかズボンとか、キャラクターのね、ズボンの折り返しの幅とかね。なんかもうね、ボタンの位置とかね、めちゃくちゃね、オシャレなわけ。凄いの。それが、普通の人の絵だとそんなのはね、結構ダサかったりするんですよ。この人の描く絵はね、本人はどうか知らないけど(笑)。もの凄くカッコいいの!だから、そこが、ちょっと違うんだよね。
原田_(笑)。

土井_あそこに原画が並んでるんですけど、みんな絵を描く人たちはまず色ベタにビックリするんですよ。あんなに綺麗に色ベタが塗れるって。
原田_あぁ、色ベタね。
土井_あれ、綺麗に塗れてるんですか?原田さん塗ってるんですかね?
原田_あぁ、あれはね、全部色指定だから、自分で塗ってはいない。
土井_原画があるよね?あぁ、あれはシルクですか?
原田_あれは出力してやったヤツじゃない?あれは版下は元々モノクロしかない。
土井_あぁ、すいません、私の勘違いでした。
原田_あれはね、確か数寄屋橋阪急でやったヤツ【9】じゃない?
土井_原画の線もあるんですけど、ホワイトはほとんど入ってないですね?ホワイトは入れないんですか?
原田_いや、入ってますよ。
石井_入ってる、入ってる(笑)
土井_相当入ってる(笑)
原田_ホワイトだらけ。ホワイトって修正なんですよ。
石井_それで、原稿やっぱり遅いの(笑)
一同・会場_(笑)
石井_なんかさ、ピッて3分くらいで描ける様な感じ、するじゃないですか?
会場_(笑)
石井_平気でね、一週間とか遅れるの(笑)。それだけ、繊細なの。実は。
土井_繊細ってことは、何枚も描いてるって事ですか?
原田_(首を傾げながら)いや(笑)
一同・会場_(笑)
原田_本当は15分くらいで描いてるんですけど(笑)
石井_いやぁ、だからねぇ、描いてはいるんですよ。だけどこれじゃないなぁっていうのが二晩とか三晩続いちゃう訳なんですよ。渡さないんだ。大体ね、そういう人は本当に絵が上手いの。絵にしても文章にしてもなかなかね手離れが悪い!大体。ね、そうでしょう?(笑)
原田_なんかこう、波みたいのがあるでしょう、自分の中で。ぱっと描けるなって時期が。それを待ってるだけなんですよね、一週間くらい。
会場_一週間くらい(笑)
原田_締め切り来たなって頃になると、もうこれ以上伸ばせないかなと思って、無理矢理描いちゃう、みたいなね。
石井_なんかその、速く描けちゃったりして、でもすぐ渡さないんでしょう?大体。
原田_そんなことないですよ。
会場_(笑)
原田_大体、締め切りすぎてから渡すことが多いから(失笑)。あはは(笑)
会場_(笑)
土井_毎月2~30点作ってたっていうんですけど、1つ描いてたら1つの素材っていうか、まぁジャックならジャックに対して、プリントパターン色を変えるとか、いろいろ作るじゃないですか。あれは、描いている最中からずっと思って作ってるのか、このバリエーションの凄さ。
原田_あの…ヒットする商品は、また次の年になると色替え全部したりとかするんですね。そういうのは先のことまで考えないで、最初だけ考えてますけども。
土井_ジャックとジルも初期から後期までちょっとずつ変わっていってるんですね。
原田_大分随分、変わってますね。
土井_あれはもう、自分から描いていて気に入らなくなってくる?
原田_知らない内に変わっちゃうんですね。
会場_(笑)
土井_知らない内に?
原田_うん(笑)。同じものを描こうってあんまり思わないでやってるから。

【10】OSAMU GOODSの中でも圧倒的人気を誇るスクールバック。左端、初期デザイン"スライスドアイ"のスクールバックは80年代ティーンだった人たちには懐かしい思い出がいっぱいで、展覧会に訪れた人は皆「懐かしい〜!」「私、これ持ってた!」と思わず口にする人が続出。現在復刻版が販売されているが人気は不動。

土井_(笑)。後、思うことは…グッズの種類の、所謂マニアックグッズって呼んでるんですけどね。
原田_種類?
土井_ヘンなグッズじゃないんですけど…。一番売れているのは、トートバックは一番売れました?
原田_あれはスクールバック【10】って名前で。学校の革の鞄と一緒に持って歩くってのが流行ったんで…一番多いかもしれないですね、バリエーションが。色も。
土井_あれが一番手に入んないですよ。
石井_使っちゃってるってことですね。
土井_使ってるしもしそれが出てくるとすると、某ナントカオークションとかで出てくるとすると、多分あの頃使ってた人達がすごい懐かしいと思っちゃって…
石井_すごい懐かしいんだ…
土井_高くなっちゃってる。
会場_(笑)
土井_手に入んない。困っちゃう。
石井_ホントにね、例えば原宿あたりとかみんな持ってた。
土井_僕の原風景も大分怪しくなったんだけど、原風景の中に女子中高生があれを持って学校に通ってる風景が、なんかある。
原田_それ、後ろの所にあるパルコのポスター【11】女子学生が鞄の上に犬のスクールバック持ってました…その頃みんなああゆう格好をしてたってってんで描いたんですね。
土井_あぁそうかそうか…。一番スクールバックが売れ筋としてあって、その次が何なんだろう?
原田_何だったんでしょうね…?
内田_LPバック【12】は…?
土井_あ、LPバック!
原田_LPバックも…バック類ではそういうのがあったかもしれないですね。
土井_LPバックっていいですね!
原田_うん。LPっていうのはレコードのLPジャケットですね。30cmのを入れるっていう…
土井_私も一生懸命、小遣い貯めてLPを買ってた覚えがあるんですけど、それを入れる用のバックがちゃんとあって、それが売れるって面白いですね。
原田_そういう時があったんですね、一時期ね。
土井_それはLPをやっぱり入れてたんですかね?
原田_…と、思うんですけどねぇ?
石井_(首を傾げる)
会場_(笑)
原田_あまり見たことねぇなぁ(笑)
内田_会場のみなさん如何ですか?
会場_LPバックは持ち物でした。
原田_ただの袋としてね。
土井_袋としてね。
(一同納得)

【11】PARCOの広告は、治さんが様々なスタイルのイラストを描いていた頃のイラストレーション。そしてこの頃の女子中高生は、イラストの様にスクールバックを決まって持っていた。【12】LPバック。この地名シリーズはLONDON・PARISバージョンも弥生美術館で展示されていた。他はこちらのページ(下段の画像参照)に、初期のキャラクターの描き方で、レコードバック(LPバック)が登場している。

土井_えーとですね、マニアックな感じだよね…
石井_後、ノート【13】とか売れてたんじゃない?
土井_あ!
原田_あぁ、ノートは大体売れましたね。
石井_そうそう。
土井_ノートはスゴいですね。
原田_僕はでも、OSAMU GOODSを最初にやった頃で一番やりたかったのはステーショナリーなんですよね。
石井_あぁ、うん。
原田_だからその頃は、地方の文房具屋さんなんかがそういうキャラクターグッズを扱うようになって、文房具屋さんがファンシーショップみたいに変えてった時代ですね。
石井_あぁ、そうそう。
土井_ステーショナリー、文房具が多くて、実は私、今回ピンバッチ【14】を作らせて貰ったんですよ。ピンバッチを(作るにあたって)原田さんの重要な言葉で「僕がデザインしますよ」ってメールで送ってきて、この原田さんがデザインするっていうのは、後々思ったらスゴいことで(笑)
一同_(笑)
土井_ダスティミラーの、コージーのは原田さんの目っていうかデザインが入っているんですよね?
原田_うん。
土井_ダスティミラー以降は、原田さんは素材を渡して…
原田_版権を渡して。
土井_版権を渡して、デザイナーは他にいる…
原田_そうです、そうです。
土井_っていう流れですよね?
原田_各メーカーさんのデザイナーがデザインしたんです。
土井_原田さんのとってもヘンな面白いブログで、20年前まではデザインしていたって書いてあって。
原田_そうですね、大体。
土井_今回やっとピンバッチをデザインしてくれたっていうのは案外スゴいことで。で、尚かつピンバッチを留めるカードもデザインしてくれた。これはちょっとスゴいことじゃないですか?
原田_うん、そうですね……スゴいことかどうか分かんない(笑)。他にやる人いないと思ったから(笑)。
土井_「僕がデザインしますよ」って言われたことがスゴいことだって、後々気がついちゃって。あ、そういうことかって思っちゃったんですね。
原田_絵は昔描いてますよ。
石井_人にやらせたがらないんだ。本当は(笑)
一同・会場_(笑)
土井_だからあのピンバッチはお買い得ですよって自分が言ってもしょうがないですが(笑)
一同・会場_(笑)
土井_ちょっとスゴいもんだなって私は思いました。
原田_原画は古いヤツなんですね、丁度ピンバッチに合いそうな小さな絵を探して、で、後はデザインは自分でやりました。
土井_最初打ち合わせしている時に「ドットは使っていい?」とか言われて(笑)。「ダメです」って(笑)
石井_あはは(笑)
原田_できないですよね(笑)

【13】OSAMU GOODと言えばステーショナリーを思い出す人も多いが、展覧会で展示されたノートの種類の豊富さを観ればそれもうなずけるというもの。アメリカのシステマティックなデザインを思わせるOSAMU GOODのノートは、全く古びない魅力がある。お勉強もはかどりそうだ。

【14】展覧会の為に土井さんが治さんに発注して作ったピンバッチ(画像右)。ピンバッチの台紙のデザインも治さんが手掛けたもの。

 

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