『少女時代によろしく』、『水森亜土』、『女學生手帖』など、著書多数な、弥生美術館学芸員内田静枝さん。今回の『オサムグッズの原田治展』の企画を行い、展示商品のセレクトや設営、期間中の様々な取材受付も担当されました。オサムグッズを集めた少女時代の経験談と、大正期から連なるイラストレーターのグッズの歴史を俯瞰されたギャラリートークは来場者の皆さんにとっても興味深いお話だったのではないでしょうか。弥生美術館の一階に展示されたオサムグッズを眺めながらの説明はとても分かりやすく、改めてその魅力を掘り起こす50分間となりました。
私が強調したいのはオサムグッズは懐かしグッズではない、ということです。
再び大人の目でオサムグッズを見ますと「なんて格好良いんだろ」「なんて素晴らしいデザインなんだろう」ということに気がつきます。中高生のときには見えなかったことなどを、こうして再び相見えることによって、オサムグッズ40周年記念の展覧会で皆様にも気づいていただければと思います。
ミスタードーナツの景品は有名ですが、実は正確にはオサムグッズではないのです。私も原田治さんのイラストレーションが施された景品が欲しくて、どれほどドーナツを食べたことでしょう。しかし、ドーナツのおまけはオサムグッズではありません。
1984年からミスタードーナツの景品が始まりましたので、それによって日本全国の人が原田治さんによる可愛いキャラクターグッズを知り、それが欲しくてドーナツを食べたわけですが、本当のオサムグッズ、それは(株)コージー本舗が出していたもので、登録商標もしています。
原田治との共同作業でコージー本舗が著作権管理を行い、続けて社内でダスティーミラー【1】というオサムグッズを販売するための小会社を設立し全国展開していたのです。初期のオサムグッズをご覧になると、クレジットがあります。例えばここに(展示コーナーを指差して)タグが出ていますけれど、「OSAMU GOODS NEWYORK-TOKYO」とあるんですね、このタグが付いているものが本物のオサムグッズなのです。
オサムグッズは1980年代後半には年商20億円年間販売個数500万個を誇ったそうです。あまりに数が大き過ぎて、それがどれほどのことなのか、想像が難しいですけれど、とにかく、大ヒットだったわけです。