ここちらに、原田治先生のイラストスクールで学んだ先生も来ておられるのですが…いとう瞳さん【7】…
内田さん—原田先生は『パレットクラブスクール』【8】というイラストスクールも運営されています。今19期生という事ですから、20年近く学校の先生をなさってらっしゃる訳ですよね?
いとうさん—私は2期で…
内田さん—2期ですか。どんな先生だったのですか?
いとうさん—最初に授業が始まる、一番最初の回にだいたい校長として治さんの回があるんですけど、まずイラストレーターとしての事業主というか仕事をやっていく上での、みなさんはこれからお店を開くということを目指している、っていう部分をまず最初に話してましたね。それは多分今でもそうだと思いますけど、それからいろんな方々のイラストレーターの方の絵の感想をスライドに映したりして言われるので、まず先生、校長としてそこを教えてくださいました。
内田さん—お店を開く?
いとうさん—そうですね。だから例えば仕事をやっていく上でのやりとり、むこうとの(クライアントなど)関係性とか、個人事業主になるっていう前提である意味シビアなところを最初に教えてくださるので、そういう心意気で頑張ってくださいってことだと思いますけども。
内田さん—ありがとうございます。
『パレットクラブスクール』は築地場外市場の中にあるんですね、隣が『すしざんまい』だったりするんですけれども、そうした一角に秘密基地のようなイラストスクールがありまして、日本で今第一線で活躍されている沢山のイラストレーターを排出している学校を原田先生は経営されていらっしゃいます。
(7)イラストレーターのいとう瞳さんはパレットクラブスクールで講師としてもご活躍中(画像中央)。(8)築地場外市場の中にある、まるで秘密基地の様なパレットクラブスクール。黄色の扉が目印。治さんの大親友だったペーター佐藤さんが命名。名前の由来はこちらに詳しい。
第1期生の方に伺った時に、原田先生は講義で小村雪岱の話ばかりしていたという話を伺ったことがあります。最後に原田治先生の美術愛好家としての側面もほんの少しですがご紹介できたらと思います。
原田先生がお書きになった著書に『ぼくの美術帖』【9】があります。こちらに展示してありまして【10】、今はみすず書房から出ているんですけれども、原田先生が自分の好きな美術家について思うままに自由に綴った美術エッセイです。
自分の好きなアーティストとして上げているラインナップがすごく渋いんですね。ティッツアーノ、ラウル・デュフィ、ここら辺は分かるんですけれども、小村雪岱、木村荘八、鏑木清方、宮田重雄、鈴木信太郎というわけで挿絵を研究している者にとってはすごく嬉しいラインナップなんですね。弥生美術館は挿絵の美術館ですので、原田治先生が日本の挿絵にすごくお詳しくいらっしゃる、ということを嬉しく感じました。
こちら差し入れで頂いた目黒のマッターホーンというお菓子屋さんのパッケージ【11】なんですけれども、鈴木信太郎の絵ですね。素朴ながらも温かみがあって、サインが平仮名で「す」って書いてあるんだけなんですけれども、原田先生が愛好されている作家です。聞くところによりますと、マッターホーンは原田先生の出没スポットでもあるそうで、すごく素敵な絵もお店に飾ってあるということです。『ぼくの美術帖』は弥生美術館ですぐ売り切れたので、今は販売出来ないんですけれども、是非原田治先生の文章をお読みください。自分がお好きな美術家について自分で思うことをすっとエッセイにお書きになっていますので、そういったところも原田治先生の魅力かなぁと思っています。
優れた才能を持った人が、自分の持っている力を凝縮して作ったのがオサムグッズである、それを今回の展覧会でご覧いただければと思います。そしてお友だちにこうだったよ、という風に教えていただけると幸いです。ミスドだけじゃない、本当のオサムグッズの魅力をこの展覧会で知っていただけたら幸いです。ではみなさん、本日はありがとうございました。