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OSAMUGOODS NEWS

2016年7月2日(土)に原田治さん、OSAMU GOODSコレクター土井章史さん、OSAMU GOODS発案者の石井志津男さんによる『トークショー』が開催されました。OSAMU GOODSができるまでのエピソードや人気グッズにまつわるお話などファン必聴の貴重なトークショーとなりました。その模様をお楽しみください。 前回

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土井_で、左右非対称のぬいぐるみ【7】って、ここに"DOG"は飾ってあるんですけど※1。今日はいとう瞳さんが"CAT"の方を持ってきてくださったみたいなんで。
内田_とってきます。
原田_あぁ本当ですか。
土井_あの、非対称のぬいぐるみっていうのはどっから?
原田_あれは思いつきでやったんです。原画が描いてありますけど、原画描いてる時に思いついただけなんですね。
土井_あれは"DOG・CAT"の流れの中でできたんですかね?
原田_ぬいぐるみを作ろうと思って、ありものの生地しか使えないんですよね。OSAMU GOODSの場合は。オリジナルで布からプリントするなんてすごいロットがないと出来ないんで、有り物の生地のサンプルを貰うんです、まず最初に。使える色とこれは使ってみたいっていうのと。それで選んだのがストライプのがあったんで、それをいろいろやってるうちにああなっちゃった。
石井_(笑)
土井_あれはちょっと、凄く…そんなには売れてないとは思うんですけど。
原田_そうですね。
土井_凄く面白い。OSAMU GOODSの中では出色ですね。
土井_えー、面白いのは後ね、これもだから当時バブル時代のものかなと思うんですけど、弁当箱があって、弁当箱を入れる為の紙袋っていうのを作ってるんですね?
原田_そうそう、ランチバックね。
土井_あれなんかも…
原田_結構あれは売れたと思いますね、お弁当を入れて持っていく…
土井_お洒落な…女の子からしたら紙袋まで使い捨てですもんね。どう考えても紙だから…
原田_まぁ大体…
原田・土井_ああ来た!"CAT"!
原田_あれが猫の方ですね。
土井_あんなのがあるからね、OSAMU GOODS。困っちゃうね。
原田_まぁ、人形はあまり作ったことがなかったですけどね。

【7】(上画像)治さんによる左右非対称の"DOG"と"CAT"の原画。(左下画像)"DOG"と"CAT"の首元にはOSAMU GOODSのロゴが入ったリボンが。(右下画像/※1)このトークショーの時点では"DOG"のみが飾られていたが、後に"DOG"と"CAT"が揃って展示された。

土井_それでね、何故僕はなんで(原田さんが)ピンバッチを作らなかったのか一昨日から今日にかけて考えたんですよ。
原田_あぁ、ピンバッチね。
土井_ステーショナリーってやっぱ目的があって作られるものだから、多分、原田さんはそういうのが好きで。ピンパッチって実は、ピンパッチがそのものだから、目的じゃないんですよね。目的がないんですよ、ピンパッチって。こうやっておしゃれでしょう、って飾るもんだから。
原田_昔、あんまり見たことがなかったかもしれない。ピンパッチは。バッチはあるけれども。缶バッチが流行ってたことはあったけどね。
土井_ピンバッチって相当古い歴史なんでしょう?
原田_勿論そうですけどもね。
土井_不思議でしょうがない、ピンバッチが何故、なかったのか。
原田_そうですね、考えたらね。
土井_たどり着いたとこがやっぱり、道具としての用を成さなかった、ステーショナリーじゃなかった、ってのが結論なんですけど。
原田_あぁ、なるほどね。
土井_ダメですか?
原田_今では思い出せないですね、その頃どうしてピンバッチを作らなかったのか。
土井_だからトムズボックスで実はピンバッチの独占・零細・弱小・企業ですよ。トムズボックスでホームページを見てもらえればピンバッチがいっぱい並んでんです。
石井_へぇー。
原田_いろんな人のピンバッチを作ってますからね。
土井_本当にお手もので、お手ものじゃないけど、よくピンバッチを残しておいてくれたっていう。
石井_んー。
原田_あの頃、昔はでも七宝風の作りってあんまり…なかったと思いますね、高いものしかなかった。本当に徽章に使うもののようなものしか。今は中国で作るようになって、製作費がこなれたんじゃないかなと思うんですけど。
土井_あぁ。なるほど。
土井_原田さんは他に、忘れちゃってらっしゃるかもしれないけれど…思い出に残るグッズ、ここにあるこの…(展示の壁を指差す)あれですよ、ノートとか青い…
原田_あぁ、そうだ、そのデザインだけのヤツ【8】ですね。
土井_デザインだけのヤツ。
原田_これは本当売れなかったと思いますね。
会場_(笑)
原田_キャラクターが付いてないと売れないんだってことを実感した商品ですね、アレ。あはは。
土井_これはねぇ、欲しいんだけど僕はこのシリーズはひとつも手に入れてない。
石井_あぁ。
土井_やっぱり売れなかったんでしょうね。
会場_(笑)
原田_…と、思いますよ。
土井_でも欲しいんですよ、格好いいんですよ。
原田_それとするとやっぱりねぇ…ノートや何かがバブルの後半だったかな?安いものになっちゃったんですね、100円ノートっていうのがブームになって。イラストレーターもみんな100円ノートで描くようになっちゃったりして、あの…ちょっと高いノートは売れない。みんな100円以上は出さなくなっちゃった。
土井_サンリオと比べるとOSAMU GOODSはちょっと高かったですね。
原田_…と、思いますね。
石井_もういや、全然高いですね。狙っている年齢層が元々全然違ったんですけども。…年齢層っていうのかなぁ、まぁ"センスの持ってる人"みたいな。
原田_やっぱり安くするには大量生産しないとならないんだけど、そうするともう、桁違いの人に買ってもらわなきゃならないから。OSAMU GOODSはどっちかっていうともうちょっとコアな人が買ってたんじゃないかなと思うんですね。
石井・土井_うんうん。
原田_高いけども、まぁ、しょうがないと思って。
土井_それで、その間に…あ、あそこにある、プールバック!
会場_あぁ…
原田_あんなのあったっけか???
会場_(笑)
土井_あんなのがあるんですよ!
原田_そうですか…

【8】治さんが「売れなかった」と話したデザインのみのOSAMU GOODSシリーズ。93年の会報誌『OSAMU GOODS STYLE NO.6』によると「少し大人のひと向けに、素材選びからデザインまでを吟味して誕生したのが『OSAMU GOODS STYLE』です」とある。(左下画像)治さんの手描きによるノートのデザインラフ案。

土井_これから、だから、何か見つかるかって言うのはとっても楽しいんですよ。皆さんの家にも…僕はよく絵本のワークショップをしてるんですけど、絵本のワークショップをやってて、若いコにとってOSAMU GOODSを集めていた身近な人って、お母さんですよね、だから、もうね、だから「お母さんが持ってたかもしれないよ」とか、お姉さんくらいの人は「持ってるでしょ?」って言ったらね、小さいところで7人くらいなんですけど、そん中で1個かふたつは絶対持ってくる人がいる、OSAMU GOODSを。上手く交換したり…
会場_(笑)
土井_後はね、OSAMU GOODSはね、今んとこいいんですけど、骨董市とかではなかなか殆ど出てこないんですよ。骨董価値ってことでまだ骨董屋さんが気づいてない。
会場_(笑)
土井_えーっと、だから、リサイクルショップがいいんです。リサイクルショップに行くと本当に見つかるんですよ。でも"ダスティ・ミラー"ってのを絶対頭の中に入れて置いて…
会場_(笑)
石井_あははは(笑)
土井_"ダスティ・ミラー"じゃないヤツだったら買わなくていいです。
石井・原田_あははは(笑)
会場_(笑)
土井_"ダスティ・ミラー"だったら買って、僕は倍付けで買います!
石井・原田_あははは(笑)
会場_(笑)
原田_それ、いいね!
石井_いいっすね!
土井_それか、後は交換会ですね。楽しい楽しい、交換会をやりたいんですよ。
石井_素晴らしい!
土井_素晴らしいですか!?交換会が出来るといいなぁとかって思うんですけど。そういう感じでちょっとずつ増やしていける感じかなぁって感じなんですけどね。
原田_なるほど。
石井_せっかくそれがあるなら…
土井_あ…(と、トークショーの資料としてサイドテーブルに置いておいたOSAMU GOODS STYLE【9】を手に持つ)
石井_原田さん、これを作ったコンセプトっていうか思いつきを喋って貰ったらいいんじゃない?
土井_コレ、凄いですよ。
原田_なんでコレ、作ろうと思ったんだっけなぁ…?
石井_いやいやいや(笑)
原田_あ!ファンクラブってのがありまして、そこの会報として何か作ろうってことで、会報に変わるものはあったんですけども、どうせなら小冊子みたいなものを作りたいなと思って。
石井_何か『LIFE』みたいな感じなヤツですね…
原田_これは『LIFE』の…スタイルですね。今"パクリ"って言いそうになっちゃったけど(笑)
石井_あははは(笑)
土井_ふふふふ(笑)
会場_(笑)
原田_"オマージュ"ですね(笑)
石井_ええ(笑)
原田_これは写真もわざと最初からモノクロで、昔の『LIFE』ですね。40年代50年代の。モノクロにするっていうのがコンセプト。自分で撮った写真なんです。ただそういうことをやりたかっただけが動機かもしんないです。
石井_この内容がまた素晴らしいんだよね!
土井_そうなんですよね!
石井_やりたい放題やってんだよね。
原田_そう。これはもうね、趣味の世界ですね(笑)
石井_こういうモノが、こう、バックボーンが、原田さんの中にあるんだよね。これ作っておいて良かったですね、コレ。
土井_うん。うん。そうですね。
石井_これは素晴らしいよね!
土井_6冊ですね、全部でね。
石井_これは素晴らしい!これを作らせてくれたコージー本舗はエラいね!
原田_そうですよ。
石井_これは凄い!イームズの椅子とかさぁ、もう何か色んな…流行る前にこう、いろいろやってるからね!もう本当に凄い!
原田_商品を色んなのを作ってて、雑誌ってスタイルも面白かったんですね、デザインとしてね。あの…エディトリアルデザインっていう。それは遊びでやりたかったんですね。だから、目次なんかも全部自分でレイアウトしたんですね。
土井_あぁ、そうなんですか。

【9】1992年に16周年を記念して治さんが編集・デザインした小雑誌『OSAMU GOODS STYLE』。当時知る人ぞ知る存在だったチャールズ・イームズやイーディス・ヘッドをはじめ、キャンディバーやエレキギター、和菓子など多岐にわたる分野を特集している。本サイトのコンテンツ、MEMORY OF OSAMU GOODSでは小雑誌『OSAMU GOODS STYLE』を見開き画像で紹介中。現在は『OSAMU GOODS STYLE』No.2の、ティーンエイジャーの女の子たちの"ワクワク"が詰まったショートストーリー酒井チエさん作、1963 TOKYO BOBBY SOXER STORY『恋かもしれません』。

 

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