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OSAMUGOODS NEWS

2016年7月2日(土)に原田治さん、OSAMU GOODSコレクター土井章史さん、OSAMU GOODS発案者の石井志津男さんによる『トークショー』が開催されました。OSAMU GOODSができるまでのエピソードや人気グッズにまつわるお話などファン必聴の貴重なトークショーとなりました。その模様をお楽しみください。 前回

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土井_バックボーンの話だと、OSAMU GOODS FUN CLUBっていうのをここにも飾ってあるんですけど、こうやってパラパラと読んでると、何年頃かなぁ…90年頃だったかなぁ、あのう…原発反対の本を今から作ろうと思うって、いう記事があるんですよ。
石井_うんうん。
原田_そうそうそう。
土井_それ…今となってはそうなんですけど、それより全然以前に、女子…中高生向きに原発反対っていうのが、こんなセンスのいいところでやってるっていうのが、凄いなって思って…
原田_『Olive』って雑誌にそれをやろうかっていって、『Olive』の編集長の人ものってくれて、結構いいところまで…いったんですけど。
土井_結構いいところまでいったんですね?
原田_やっぱり、マガジンハウスは広告で成り立ってる会社だから「無理です」ってことになっちゃったんですね。
土井_うんうん。そこらへんは原田さんは『原田 治ノート』っていうのを読んで貰うと案外面白いですよ。これはねぇ、ちょっと過激なノートで…(笑)
石井_あははは(笑)
原田_ふふふ(笑)
土井_あのブログがとっても面白い。
原田_昔から反原発、やってたんですよ。
土井_反原発、すごいやってたんですね。原発以前からすっとやってたんですね。
原田_チェルノブイリの後でね、80年代。
土井_僕から思う原田さんっていうのは…
原田_話題が今マイナーな方に行きそうだから(笑)
石井_あははは(笑)
土井_ちょっとメジャー感を(笑)
原田_メジャー感を(笑)
土井_『原田 治ノート』等見れば分かるんですけど、築地育ちですよね?
原田_はい。
土井_そいで、戦後すぐに生まれて、子どもの頃から歌舞伎座に通って、落語も見て…日本の一番…戦後の焼け跡の中で見て、なんか相当美味しいものも食べてらっしゃって、で…青学でこういう風貌でしょ?高校が青学(青山学院高等部)ですよね、で、多摩美で…バブル時代があって。なんか一番いい面白い時代に…
原田_そうですね、面白い時代でしたね、戦後のね。
石井_そうそうそう、オリジナルとかが出来てくる時代なんですよね。アメリカから渡ってきて、新しかったりとか。日本も何か、新しいことが出来る…雑誌なんかもそうですよね。
原田_そうですね。
石井_原田さんは雑誌…例の平凡出版・マガジンハウスがメインだったと思うんですけど、『平凡パンチ』とか『ポパイ』とか『アンアン』とか『ブルータス』とか、そういうこう、新しく出来るそこの所にいたんですね。
原田_そうですね。高校2年か3年の時に『平凡パンチ』が出たんですね、週刊誌が。あそこから"IVY(アイビー)"とかが流行って、若者の文化が出だしたでしょう?僕は団塊の世代だから、団塊の世代がその若者の文化の対象になってる。それで、若者が商売になるってんで狙われちゃった世代ですね(笑)
会場_(笑)
土井_僕にとっては羨ましい世代ですよ。相当面白い…色々なことをやってらっしゃってるでしょう。
原田_石井さんも見た通り、アメリカンナイズされてるでしょう?戦後の…僕のひとつお兄さんなんだけども…結局、音楽の方に行かれちゃってね、レゲエの方の、オーソリティになっているんですよね。
石井_あのジャケット…原田さんに…
原田_あそこに(展示の壁の方を指して)黒人のサンタクロースの絵【10】があるんですけど、あれがそうですね。石井さんのレゲエのコンピレーションアルバムで。下が裏側で椰子の木の絵で…
石井_ありがとうございます、描いて貰って。1987年!
土井_あぁ、あれがね!そっか…
原田_戦後生まれは割と、もうアメリカンナイズされて。特にね、東京の近くにいたらアメリカンナイズされてた。
石井_まぁ洗脳されてた世代。
土井_銀座の一番ど真ん中ですよね。
石井_原田さんをもみゆき族ですよ!(笑)『テイジンメンズショップ』!
原田_そうですね(笑)
石井_青山の『BAN』!(笑)
土井_僕が原田さんと仲良くなって、一番最初の頃か二回目かな、「土井くん。なんか美味しいもの食べよう」って言われて、銀座を歩くんですけど、軒並み「ここはまずい!」「ここもまずい!」ってまずいまずいばっかりですよ。
本当に美味しいモノをね、知ってらっしゃってて。
石井_えぇ。
土井_最後に辿り着いたのが、おじいさんとおばあさんがやってるサンドイッチ屋!
原田_築地で?
土井_築地で!あ、サンドイッチ屋か!凄い美味しいものを食べさせようとしてくれて、サンドイッチ屋に行きました!
原田_そうでしたっけ?
土井_はい。
原田_全然覚えてないなー。
土井_でもね、一番最初はね、美味しいお寿司屋。大体、僕みたいなヤツは何だって美味しいっていうか…(笑)だけど原田さんは「まずいまずい」って言い続けて…。これはなかなか、大変です、これは(笑)
原田_(笑)

【10】石井さんのレコートレーベルより発売された『REGGAE CHRISTMAS OVERHEAT ALL STARS(ポニーキャニオン)』。髭がドレットになったサンタクロースと椰子の木がレゲエの気分。

土井_…てことで、そろそろ時間が来たんだけれど、質問みたいな…原田さんに質問があれば…
原田_誰も手をあげてくんない(笑)
内田_ファーストペンギン(編集註:ペンギンの群れの先鋒役のようなこと)になる方、いらっしゃいませんか?(笑)どうでしょうか?
土井_緊張しますよね?僕も原田さんと逢うっていうと、何か凄い緊張しちゃって。あんまり表に出てらっしゃらないし…
内田_あ!
内田・原田_どうぞ!
会場の方_私、パレットクラブに通っていた者です。
原田_あ、そうそう!
会場の方_アメリカの、OSAMU GOODSの元になった…インスパイアを受けた…あれは…?
土井_ナンシー?
原田_漫画?
土井_えぇっと…
原田_ナンシーっていうの。『僕の美術帖【11】って本に書いたんですけど、それは。読んでいただくと出てきます(笑)
会場_(爆笑)
内田_今日、売り切れてしまいました…
土井_こういう対応ですからね!優しいのか優しくないのか(笑)
内田_図書館で請求できると思います。みすず書房にあった9冊全部、うちで全部もらっちゃったんですが、今日、売り切れてしまいました…
土井_アーニー・ブッシュミラーっていうんですよね。
原田_そうです。
土井_ナンシーの作家が。絶対僕は、ダスティーミラーとミラーが近いからそっからきてると思ったら、そうじゃなかった。
原田_作者の名前が、アーニー・ブッシュミラーっていう漫画家の人。誰も知らないんですよ、ナンシーの漫画のこと。
土井_あぁそうですか…。原田さんがN.Y.の古本屋で大量に原画を見つけちゃったんですよね?
原田_そうなんですよ。
土井_凄い良いですよ!
石井_そうなんですか?
原田_それ、全部、本に書いてあるんですけどね(笑)
会場_(爆笑)

ぼくの美術帖』は1982年にパルコ出版から出版され、美術愛好家に絶大な支持を集めつつも絶版。後に2006年にみすす書房から復刊されたが、現在は入手困難になりつつある。

内田_他に質問のある方?あ、はい。
会場の方_原田さんが今まで、アメリカの作家で影響を受けてきた人…恐らくブロンディなども含まれるんじゃないかなと思うんですけど、誰が、ナンシー以外で…
原田_うんうん、漫画じゃなくて?絵の方で?
会場の方_絵の方で!ハンナ・バーベラなど含めた…誰が一番好きですか?
原田_ハンナ・バーベラですね、やっぱりね。ハンナ・バーベラのテレビ用のアニメーション。15分位のシリーズで、ワニが主人公のWally Gatorとかね。それからライオンとハイエナのコンビのLippy the lionっていう漫画とか。それをリアルタイムで10代の頃テレビでやってたんですね。それが好きで。その絵のスタイルが好きで。真似して描いたりとかして。
石井_うんうんうん。
原田_ディズニーの絵や漫画はあんまり好きじゃなかったですね。ハンナ・バーベラっていうのは、あれはワーナー・ブラザーズだったっけな?ディズニーじゃないですね。
石井_うんうんうん。
原田_それが大きいですね。
内田_次の方…
会場の方_こだわりの画材とかありますか?
原田_画材はね、イラストの時は全部版下だと思って描いているので、版下っていうのは印刷する前の下絵…なんていうのかな…まぁ…版下ですよね。浮世絵師の歌麿でも豊国でも、みんな描く絵は全部墨で描いてある、版下なんですよ、薄い紙みたいなので。それを版木にはっつけて、彫る人は紙の貼ってある板を彫っちゃうから、原画は失われるんですね。そこで、後は刷り師の人が指示通りの色を付けていくっていう作業なんですね、分業でやってんですね。それと同じことをやりたいなと思って、僕もだから版下原画【12】、モノクロが多いです。画材はだいたいマッキー…が多いんですね(笑)ですから、ほとんどモノクロの絵しかないんです。
内田_では、最後のお一人…どなたかいらっしゃいませんか?…はい、では、先生から、最後に一言いただきたいのですが…
原田_ん?!一言(笑)一言まとめるのが難しいですね(笑)
内田_あ…そうですよね(笑)では、石井さんからお願いします(笑)
原田_あ、石井さん、お願いします(笑)
石井_えぇ?!あぁ…原田さんのセンスがあってできているから、なんか本当に…絵のポップさだけじゃなくて、幸せな…一個の絵の中にストーリーが実はあるっていうかね。さっき僕はおちょくって手離れがいいでしょ?って言ったんだけど(笑)
原田_(笑)
石井_絵に込めてる…ストーリーがあると思うんですよ。それがきっと、好まれる。で、世代を越えて好まれる。だって、僕が企画書書いた時は土井さんみたいな人は頭になかったもんね(笑)
土井_あぁ、そうですか(笑)
石井_すみません(笑)
原田_僕もびっくりしたけれども(笑)
石井_だから、想像を超えるよね、OSAMU GOODSは(笑)

版下原稿の例がこちら。これは雑誌『オリーブ』に掲載した漫画で、画像左が版下原画で画像右が色指定紙。色指定紙とは着色する色を細かに指示した紙のことで、印刷所はこの原画と色指定紙の指示に従って、決められた大きさや色で印刷をする。デジタル印刷が主流になった今では、こういった版下や色指定紙を目にするのは珍しいかもしれない。

 

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