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OSAMUGOODS NEWS

2016年9月22日(木)に開催された原田治さんとグルーヴィジョンズ 伊藤弘さんによる『トークショー』Vol.01。今回は伊藤さんがアートディクションを担当した『OSAMU GOODS CATALOG』の制作にまつわるエピソードを中心にお届けします。

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原田_(表紙カバーのそでを会場に見せながら)綺麗ですよね、編み点とストライプが重なってね【4】
伊藤_まぁあの…あんまりね、大げさなものにならないように、って言ったらヘンですけど…OSAMU GOODSの良さでもある"軽さ"とか"明るさ"とか"楽しさ"みたいなものが、そのまんま本になればいいなと思ったので、あまりとにかく大げさな本にしないように、ということだけを気をつけて。
原田_いいですね。そういう所がすごくいいと思います、僕も。
伊藤_ありがとうございます。
原田_これも帯にタイトルがあるだけで、とっちゃうと表紙に何もないの【2】
会場_あぁ(どよめき)
原田_これ、いかにもOSAMU GOODSらしいなって思ってます(笑)
会場_ふふふ(笑)
伊藤_なので、この本自体がGOODS、だったらいいなって思って、作った本ですね。
原田_そうですね。この写真も(本の見返し・遊びの部分)【5】昔撮ったやつなんです、ハワイの。これも最初に扉の所まで口絵みたいな感じでね、写真を使って。これも面白いなと思うんですよね。
伊藤_ちょうどこの辺の(といって背後にある『OSAMU GOODS GO TO Hawaii』の写真を指差す)。

【4】本を持って見た時に、表紙カバーのそで部分がドットとストライプになっている。【5】本の見返し(遊び)に使用している写真は『OSAMU GOODS GO TO Hawaii』がハワイで取材撮影された頃と同じ時期のもの。

【6】表紙カバーのそで部分のドットと、グラスに描かれたジャックの顔のドットが同じ赤。色彩を合わせる心憎いデザイン。

7】見返し(効き紙)部分は、片側がグレーのボウル紙に、オペークインクという不透明の特殊インクで印刷されている。紙の地色が少し透けて見えるような印刷で、刷り重ねにより印刷効果に変化がつけられる。

原田_そうですね。これもあの(といって本の扉を開いて見せて)ドットの返しがこうきて色がちゃんと合ってるのね、写真とね【6】。これ【7】凝ってますね、ここね(といって見返しを指差す)。
伊藤_そうですね(笑)
原田_この※表3(※見返し部分のこと)のとこ。これは『オペーク』?
伊藤_『オペーク』ですね。
原田_この表紙の紙が、片側が白くて片側がグレーのボウル紙ですね。
伊藤_そうですね。
原田_…何ボウルって言うんでしたっけ、これ?ボウル紙ですよね?
伊藤_まぁ…ボウル紙ですね、クラフト紙、みたいなものですけどね。
原田_OSAMU GOODSでよく使ったんですけども、そんな高い紙ではないんですね。片側白で片側がこう、グレーなの。これはあの『オペークインク』って言って不透明インクでもって、一色で白で刷っていったの、ちょっと透かした感じになる。透かし彫りみたいな感じになりますよね。そういう所がすごく凝ってるなと思いますね。
伊藤_ありがとうございます。まぁ、今だとわりと普通のつるっとした紙の方が、実は安かったりするんですけど、かえってこういう紙の方が高かったり…
原田_ホント、そうかもしれないね。
伊藤_そうですね。特殊な紙だと意外と…
原田_使わないからね、あんまりね。
伊藤_そうですね。なので印刷もその分、ちょっと再現性も良くはないんですけど…
原田_そうでしょうね。これね。
伊藤_その分、結構味がでるかなと。

【8】ハワイで撮影されたドッグのスクールバックの写真の横に、ドックの原画を合わせている。本の「のど」近くに"※アタリ罫(極細の線)が残った原画を使用しています"という注意書きが入っている。【9】カラーでしっかりと描き込まれたハンプティダンプティの原画。一番最初に描かれたものだそう。

原田_後ここの所【8】…犬(スクールバック)の写真なんですけど、犬連れ込むなっていう標識のとこね…これハワイのオワフ島なんですけど、これ(右ページ)に、この犬の原画を合わせるっていう。
伊藤_(笑)はい。
原田_ここに(ページ左下)書いてもらったんですけど、アタリケイって言って、実際に使った時はこの線は消えちゃうんですよ。色だけになる。わざと版下だけ見せた。こういう形で見せたことはなかったんですね(笑)
伊藤_そうですね。まぁ、こう…"舞台裏"みたいなものですよね。こういうのは。
原田_面白いと思いました、これがまた。
伊藤_この本の為に、原田さんの方から沢山昔の原画を戴いて。
原田_そうですね。
伊藤_あれがまぁ、逆に…もう実は、凄い良い、良いものが結構多かったって感じがありましたね。
原田_この原画【9】(カラーのハンプティダンプティ)もあったんですね。これね。
伊藤_そうですね。ありましたね。
原田_これ、一番最初に描いたヤツ。何十年前かに。これも本の為に描いたヤツです。最初はこういう風に描き込んでたんですね、一番最初は。最初の一年位でしたけど(笑)
伊藤_うんうん。
原田_これだと、いろんな物にプリントする時に4色使わなきゃいけないとか…
伊藤_あー、はい、はい、はい。
原田_新製版の時に上手くいかないとかあるんで、それでこういう単純なものに、1色とか2色でも出来るようにしていったんですね。
伊藤_うんうん。

原田_これ【10】(ブックスタンドの写真)、縦にしたんですか?横のヤツを…(笑)
伊藤_そうですね(笑)
原田_ここの所も【11】全部版下なんですね。これね。だから、アウトラインがこれ、実際は消えちゃうんですね、印刷すると。あの、物に使うときは。
伊藤_そうですね。まぁ、版下って印刷用のあれですもんね、原画ですからね。
原田_原画ですね。
伊藤_印刷になると全然変わってしまって。
原田_こうやって見ると、結構良いなって思いましたね。で、ここが扉になりますね【12】
伊藤_そうですね。

【10】横位置で撮影されたブックスタンドの写真を縦位置で使用している。【11】右側下部に描かれたジルのうっすらした輪郭線をアタリ罫と呼ぶ。紙に印刷する際は、指定されたベタ塗りの色が入る為、このアタリ罫は消える。写植印刷が主流だったころの印刷では、こういった原画を用いて、印刷屋に指定をしていた。

 

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