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OSAMUGOODS NEWS

2016年9月22日(木)に開催された原田治さんとグルーヴィジョンズ 伊藤弘さんによる『トークショー』Vol.01。今回は伊藤さんがアートディクションを担当した『OSAMU GOODS CATALOG』の制作にまつわるエピソードを中心にお届けします。

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トークショー出演者プロフィール紹介。
原田治さん【画像右】…ご存知、OSAMU GOODSの生みの親、原田治先生。
伊藤弘さん【画像左】…原田治先生が一番好きなアートディレクター。『groovisions』代表。グラフィックやムービー制作を中心に、音楽、出版、プロダクト、インテリア、ファッション、ウェブなど多様な領域で活動。100%ChocolateCafe.をはじめとする様々なブランドのVI、CI、『ノースフェイス展』など展覧会でのアートディレクション、MUJI TO GOキャンペーンのアートディレクション&デザイン制作など。
司会・進行役は弥生美術館学芸員の内田静枝さん。

内田_本日は原田治先生と、ゲストでグルーヴィジョンズの伊藤弘さんをお迎えしております。えー皆様、こちらの本【1】(『OSAMU GOODS CATALOG』)ですね、9月24日から書店で販売になります。ちょっと一足お先に弥生美術館で先行販売させて頂いております。こちらのデザインを担当されたのがアートディレクターの伊藤弘さんです。この本を作成したエピソードなどをどんどんお伺いしていきたいと思います。最後に質問のコーナーも設けますので、原田先生・伊藤さんに何かご質問ある方はどんどん挙手してください。一番後ろにこの本の編集者の宝島社、岡村さんもいらっしゃいますので岡村さんにもいろいろお伺いしたいと思います。では皆さん、しばしお待ちください。
会場_(笑)
内田_昼間からずっと取材が入っておられまして、その後サイン会ですね。サイン会も100名様の予定だったのですが…サイン会も参加された方、いらっしゃいますか?あ、朝からどうもありがとうございます!。私が9時半に出勤しましたら、傘をさして行列していらっしゃいました。すごい熱気ですね。さすがOSAMU GOODS40周年だと思います。ではお待ちかねです。原田治先生、どうぞよろしくお願い致します。

弥生美術館の二階展示室はトークショーに駆けつけたお客様で超満員となりました。『OSAMU GOODS CATALOG』を片手にサイン会から参加された方も多くいらっしゃいました。

会場_(盛大な拍手)
原田_はい。
内田_グルーヴィジョンズ、伊藤弘さんです。
原田_どうも。お待たせしました。こんばんは。今日たまたまこの本【1】(『OSAMU GOODS CATALOG』)が間に合ったので発売は10月らしいんですけど、今日特別にここで売ってたんですよね?
内田_はい。24日発売の所、実は昨日からこっそり(笑)売らせて頂いています。でも今日、このトークショーの為にご用意させて頂きました。宝島社さん、ありがとうございます!
会場_(拍手)
原田_あ、いらっしゃってるの?
内田_一番後ろに…
原田_あ、いたいた(笑)(手を上げるしぐさをする) 弥生美術館で展覧会をやるってことになって、それで何か本も記念的にだそうかってことになって宝島社さんが出してくださったんですね。これは、今回この展覧会自体が僕の物じゃなくて土井(章史)さんのコレクションだったものですから…
内田_土井章史さん!
原田_あ、土井さん、いたいた(笑)土井さんのコレクションですから…僕は持ってないので。土井さんがやってくださるんだったらばってことで、展覧会になりました。でも、どうせだったら本にも出しとこうってこのカタログ風に。これを伊藤さんに…グルーヴィジョンズの伊藤さん。
伊藤_あ、はい。
原田_僕が一番好きなアートディレクターさんで…
伊藤_あ、ありがとうございます(おじぎする)。
原田_全面的にお任せして、一切口出さないで。全部やってもらったんですね。
伊藤_そうですね。はい。もうちょっと口出して欲しかったですね(笑)
会場_(笑)
原田_それで出来上がりました。僕もとても気に入っているんですけど、デザインも。
伊藤_あ、ありがとうございます。

【1】表紙・裏表紙カバーと帯。OSAMU GOODS誕生40周年を記念して作られた『OSAMU GOODS CATALOG(宝島社)』は2016年9月24日に発売された。背表紙には"原田治監修"と明記されている。

原田_土井さんのコレクションはかなり充実してると思うんですけど、その中から撮影をこちら(伊藤さん)でしていただいて。全部は撮れなかったですよね?
伊藤_そうですね。やっぱりもう、すでに展示してあったので…
原田_展示してあるものはなかなか撮影できなくて…
伊藤_なかなかこう…全部撮影することが出来なかったんで、そっちは残念、でしたね。
原田_展示してないヤツを撮影して。
伊藤_はい。後は土井さんのコレクションの中で複数あるものとか。
原田_ああ、そうなんだ。
伊藤_そういうものとかを。後はガラスケース越しに撮影させてもらったりとか。
原田_ああ、そうなんですね。
伊藤_そういう感じで、いろいろとこう…はい。
原田_ホント、大変そうだったんですけれども、何点ぐらいこれ(本)に?
伊藤_何点ですかねぇ…ちょっと数えてないですね…
原田_何点だっけ?(『OSAMU GOODS CATALOG』の編集者、宝島社の岡村さんに話かける)
岡村_300、です。
原田・伊藤_300点?
原田_300点だそうです。
伊藤_300点というのは多い…ですよね。
原田_多いですね…この土井さんのコレクションの中でもかなり古いヤツを土井さんが持っていて、これで伊藤さんが選ばれた時に、この表紙【1】の絵なんか一番古い絵なんですね。(本を片手に表紙を指差す)
伊藤_そうですね、はい。かなり…古い。
原田_僕、口出ししなかったのは、面白いと思うものだけを選んで頂きたかったから、だぶん、これを選んだのは太い線の絵にしたくって、じゃないかな?と思うんですけど…

「この絵は一番古い絵なんですね」と表紙のジルちゃんを指差す治さん。OSAMU GOODSの中でも"スライスドアイ(目に切れ込みが入っている描き方)"バーションは初期に描かれたもので、ファンの間ではよく知られている。元は雑貨小物用に描かれた原画だった為、原画はかなり小さいものだったそう。

伊藤_そうですね。そうです、そうです。はい。線の太さ。線というより面、のような…
原田_面になる。これたぶん、あの…伊藤さんの感覚的なもんじゃないかと思うんですけども…これくらいの太い線で…あの…(表紙のジルの絵を指差しながら)これ実は、使ってた物は小さい物なんですね、小さい物用に描いた絵だから…原画、かなり小さいですよね。
伊藤_うん、そうですね。
原田_これを拡大してこんなに太くなったんですよ。これのぐらいの太さでやったことって、あんまりないんですね。
伊藤_小さいものを大きくする…
原田_ここまで拡大はしなかったんですけど、太くするとやっぱりこう、面白いなと思いましたから。インパクトが強いなと思って。
伊藤_そうですね。所謂線が細いと、どうしても日本的な漫画に近づいていくんで。
原田_そう!そうなんだよね。
伊藤_太いとあれですよね…
原田_グラフィックデザイン的な感覚でもって選んで頂いたんじゃないかなぁって。
伊藤_はい、まさにその通りです。やっぱりその…原田さんのイラストって、普通のイラストレーションというよりは何かやっぱり、グラフィックデザインに近い感じがするので。そういうものを自分的に好みでも分かるし…
原田_そうですね。
伊藤_こう、絵になりやすいので…そういうものが結構多い本になっているような気がしますね。
原田_イラストっていうのはどちらかっていうと、そのものがデザインっぽいんですよね、僕の場合はね。
伊藤_はい、そうですね。
原田_だからかなりやりやすいんですよね?デザイナーの人にとっては。
伊藤_デザイナーはやりやすいですね。もう既にある程度こう、出来ているし、印刷前提に絵を考えられている所が原田さんの場合はあると思うんで、デザインする側にとっては、こう…色んな"味"を逆に加えていけるし、すごくやりやすい絵であると思います。

2016年10月1日掲載のOSAMU GOODS NEWSでは『OSAMU GOODS CATALOG』の制作を始める頃にインタビューした伊藤さんのコメントを掲載しています。本のデザインの構想やどんな方に見てもらいたいかなど語って頂きました。このトークショーの模様と合わせてお読みください!

【2】帯をとった表紙・裏表紙カバーにはジルとジャックが。【3】カバーをとった表紙・裏表紙にはキャットとドック。OSAMU GOODSのメインキャラクターとも呼べる顔が本の表紙・裏表紙を飾る仕掛けになっている。

原田_この中を見てみると(本のカバーを取って)4つのキャラクターが表紙になっているんですね【2】【3】。全部同じもので描いた、同じ時に描いたと絵だと思うんです。目がこう、スライスに切れてますよね。これは、えっと…かなり古い絵なんですね。今見るとちょっと直したい所がいっぱいあるんですが(笑)
伊藤_あはは(笑)
会場_(笑)
原田_でも、こうやって客観的に取り上げられて、突き放した感じでデザインされると、それなりに面白いなとは思います。
伊藤_表まわり(※表紙・裏表紙のこと)はね、男の子と女の子と犬と猫。この4つの顔で、ある程度なんかその…原田さんの世界が出来ているような気がして。
原田_これもあの…このバックが編み点とストライプになっていますよね(カバーを取り上げて)。こういうのがものすごくデザイン的に…多分僕のアレを意識してくださったんだと思うんですけどね…
伊藤_そうですね。
原田_このドットは印刷を拡大した時のドットなんですね。
会場_ふう~ん(どよめき)
伊藤_はい。
原田_これあの…活版(印刷)だったらああいうヤツなんですけども、今知らない人は皆、これだから…顔がボツボツだとか言われちゃうんですよね。
伊藤_あはは(笑)印刷するとこう…印刷って全部ドットで出来ているので、それを拡大すると点になっている。
原田_ポップアートってあるじゃない?あの、アメリカのね。リキテンシュタインって人は、拡大してこういうドットを大きくするんだよね。印刷を拡大したっていう意味の意匠なんですね。
伊藤_そうですね。アメリカの古い…
原田_60年代のアメリカの。
伊藤_コミックですね、ああいうコミックを拡大するとこういう編み点が出てくるという。
原田_その…説明しないと分かんない時代になってるんですね。
伊藤_そうですね。あはは(笑)
原田_あはは(笑)
伊藤_後はまぁ…その、赤と青を使ってるのが何んて言うか"古き良きアメリカ"。
原田_そうですね。
伊藤_はい。で、ストライプとドットで、何となくこう…アメリカ感、アメリカの雑貨の。
原田_そう、昔のままの。
伊藤_その感じを出せたらいいなと思って。それが本の中身でも、わりとそのグリットの所とドットの所と二つ大きいモチーフになっていて。まぁ何となくそれが全体の感じになっていいます。

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