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ALETTECLUB特別企画 原田治のイラストレーション展

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トークショー出演者プロフィール紹介。画像右より

服部一成さん
1964年東京生まれ。ライトパブリシテイを経て2001年よりフリー。主な仕事に、「キユーピーハーフ」の広告、雑誌『流行通信』『here and there』『真夜中』、「三菱一号間美術館」のVI、旺文社『プチ・ロワイヤル仏和辞典』など。毎日デザイン賞、ADC賞、東京TDCグランプリ、亀倉雄策賞、原弘賞などを受賞。

菊地敦己さん
1974年東京都生まれ。ミナ ペルホネン、サリー・スコットのアートディレクション、青森県立美術館、大宮前体育館のVIサイン計画、『「旬」がまるごと』『装苑』『日経回廊』など雑誌・書籍のブックデザイン、「亀の子スポンジ」のパッケージデザイン、美術、建築、ファッション、工芸にかかわる仕事が多い。ブックレーベル「BOOK PEAK」を主宰し、アートブックの出版を行う。

服部_描いてるのは、本当に…典型的なものを描いてるんだよね。
菊地_うん。

服部_典型的なものをさ、典型的に描いてる…なんだけど、原田さん独自なんだよね…。よくそんなものを描き出せたなぁ。元々はさ、アメリカのイラストのあらゆる省略のさせ方とかさ、それとかまぁ…ディズニーとかミッキーマウスとか、近いものはいっぱいあるけど、でも違うっていう。

菊地_うん。
服部_それが凄いね。
菊地_うん。
服部_「UENO ZOO」の右にあるシマシマのヤツ【1】とかさ…
菊地_あれ格好いいよね!
服部_超好き!欲しい!(笑)色もいいし。
菊地_あれ、何だっけ?
服部_何か、ポーチのイラストかな。
菊地_ポーチのイラスト。格好いいよね。線の入り方も格好いいし、黄色とブルーのコントラストとか。
服部_あの…色がいいよね。
菊地_いい。
服部_色が綺麗ですよね。
菊地_綺麗!
服部_(笑)見たそのまま答えてる(笑)
菊地_(笑)
服部_やっぱり、バランスがいいのかな。そんなにヘンテコな……菊地くんみたいな、いかにも色がいいですよっていう色とは違う(笑)
会場_(爆笑)
菊地_あははは(爆笑)
服部_菊地くんの場合そうじゃん!(笑)
菊地_そうかなぁ?そんなに良くない?(爆笑)
服部_いやいや(笑)菊地くんの場合そうじゃん(笑)
菊地_(笑)
服部_いかにも“センスいい色使ってます!”って色使いじゃん(笑)
会場_(爆笑)
服部_原田さんはさぁ…
菊地_や~ぁな先輩だなぁ!(笑)
会場_(笑)
服部_ポピュラーな色使いなんだけど…
菊地_いかにも一般的に見えるんだけど…
服部_一般的に見えてしかも、結構な色数があるんだけど…めちゃめちゃバランスがいいなぁ。綺麗に見える。
菊地_色自体、そうだよね。カラートーン的な雰囲気がある。
服部_色数が少なくても綺麗ですね。OSAMU GOODSとかでも上手い。
菊地_やっぱ、バランスがいいんだよね。
服部_バランスですね。あらゆるバランス感覚が凄いですね、原田さんは。

ポーチの生地はコージー本舗のつけまつ毛『コージーアイラッシュ』の販促として作られた景品の一部で、治さんがイラスト・デザイン制作したもの(1975年)。OSAMU GOODSの原型とも言える商品で、この時の景品制作を足がかりに、OSAMU GOODSへと発展。セーター、エプロン、ブックバインダー、ファッションバック、ポーチなどラインナップにもOSAMU GOODSの片鱗が。

キャラクターグッズの仕事を紹介した展示。画像右上は上記に紹介した通り。画像左、1970年代後半「MOONY」(西武デパート)。中央上にある上野動物園は1986年から1989年のもの。その下のノートと靴下は「Tapioca」、1985年から1990年代。「LOUIS ET TOUTOU」は1987年。お隣のミニトートは「HALEIWA SUPER MARKET」2010年。クマのハンドタオルは未発売の「Three Bears」(DUSTY MILLER)。下「Plain Soda」1989年、その隣「ミスタードーナツ」お弁当BOXのシール1985年、ジグソートランプ1984年、絵あわせパズルトランプ1985年。OSAMU GOODS以外のキャラクター、あなたはいくつ知ってました?

服部_菊地くんは昔からああ言う色使いなんですか?
菊地_うーん、大体そうです。
服部_昔は?
菊地_昔はねぇ…予備校生くらいの時、色がね…苦手だったんですよ。僕、渋い色が好きだったんですよ。
服部_へー。
菊地_何かしらなんでも濁して使ってたの。そうやって作ってたんだけど…。何か全部の色を見たら…何色を使ってるか、彩度が飛んじゃってるから、ぼんやりした。
服部_うん。
菊地_ぼんやりしてると思って…で、やめたの。混色にするのを。
服部_うん。
菊地_で、原色、絵の具のままでいいやと思って。色なんて一個一個が綺麗じゃなくてよくて、対比の問題だと思って。
服部_うん。
菊地_で、それでずっとやってる。それで使えるようになりましたけど。練習したんですよ、色に関しては。
服部_うん。練習感はあるよね(笑)
会場_(笑)
菊地_や~ぁな先輩(笑)そうでしょう(笑)よ~く考えて…
服部_練習感というか…練習感って言ったら具合悪いかと思って…“こういう色使いしてやるぞ”っていう…(笑)
菊地_計画です、計画!(笑)デザイナーだから!
服部_あ、そうか(笑)
菊地_正しいでしょ、それ(笑)
服部_正しい(笑)
菊地_「色のセンスがいいと思うんですけど」って言われるんですけど、センスでやってる感が全然ないから…
服部_うん。
菊地_まぁ、なるよね。練習すると…

服部_菊地くん、こういうの、あるじゃないですか?これ【2】に近い感じで…(浅田 彰の『逃走論』の表紙を見せながら)
菊地_ちょっと違う感じになりますよね。
服部_ちょっと違う感じになっちゃう?センス良くなる?“センス良いでしょう”感が出ちゃうんですか?(笑)
菊地_(笑)
会場_(笑)
服部_“センス良いでしょう”感がない、もう一枚のが正解だね。
菊地_そうだね(笑)あぁ…分かる分かる(笑)これだったら、どうやって直すかな…?
服部_そこからね…
菊地_赤だね、赤に直すかな?ここ(ネイビーの円を指して)が原色だったら混ぜないじゃん。そうするとお洒落になるの。
会場_(笑)
菊地_マジで!
服部_ずるい考えですよ!
会場_(笑)
菊地_いやいや、時代を象徴するの…後々(笑)
服部_でも原田さん(装丁が)好きだったんだろうな…【3】。「あまり面白くない本だね」とか言いながらやってそうな…。意地悪とかそういうんじゃないんですよね。意地悪じゃないんだよ、優しいんですけど…
菊地_引いて見ている?
服部_ちょっと突き放した感が、東京人っぽい。
菊地_東京人っぽい…

【2】治さんが装丁した浅田 彰著『逃走論ースキゾ・キッズの冒険(ちくま文庫/1984年)』【3】治さんがデザイナーとして手掛けた装丁本の一部。展覧会ではこれらの本を手に取って見ることができた。

菊地_教えて服部さんのコーナーでもやりますか?(笑)
会場_(笑)
服部_(笑)
菊地_服部さんはね、デザイン界の生き字引って言われてる(笑)
会場_(笑)
服部_何それ?(笑)
菊地_デザインのことを聞くと、大概のことはすらすら出てくる。いろいろ持ってるの。
服部_あぁ、昔のそういうこと?
菊地_そうそうそう。
服部_持ってないよ。君よりちょっと10年早く仕事してただけのことですから。
菊地_いやいやいや…服部さんの並びのさ年代の人とか、ちょっと上の人のこととかさ。そういう感じの人、あんまりいない。自分のことばっかり言ってる(笑)
会場_(笑)
服部_確かに(笑)
菊地_確かに(笑)
服部_とりあえず質問コーナーやります?
菊地_何か、あります?これを解説してくれ!とか。
会場_(笑)
菊地_何の絵ですか、これ?とか…すごくいいなと思うんだけど、どこがいいんだろう?とか。…はい、そうぞ。

会場_絵とデザインの定義を教えてください。先程から絵とデザインのお話をしてましたが、何故絵とデザインが違うのかを教えて欲しいです。
菊地_鋭い!教えて、服部さん!(笑)
会場_(笑)
服部_(笑)
菊地_えっと…広く言うと、デザインも絵だと思っているところがあるんですけど…。うーん。何て言うんだろうね………。
会場_ちょっといいですか?
菊地_はいどうぞ。

会場_デザインの方はどっちもありえるんですかね?何かの目的があって制作しているっていう意味で、原田さんの絵をデザインですねって言ってるのかなって思ったんです。

菊地_あぁ…いや、あの…原田さんの絵がデザイン的だなと思うのは、そこに計画があるなぁと思うからなんですよ。絵に構造があるっていうか、ちゃんと形態が精査されている感じがあって。配色に関してもそうですけど、…視覚的に何をどういう風に情報を伝えるかとか、考えられてるのが見えるんですね、やっぱり。服部さん、どうですか?

服部_どっちが絵かデザインかって、そういう…同じ次元で二つある、全然違う存在…違うものですよね、その定義が。絵でありデザインであるってこともありえるし…。

菊地_うん。
服部_まぁ原田さんの場合、だいたいこう…作図とか絵を使ってデザイン作ってる感じだから…。まぁ、ここでさっき話してた、カロリーフリーというか…
菊地_分かりやすい絵…

服部_分かりやすい絵というかね…で描いた、具体的な具象的なビジュアル…というものを、最近デザイナーも絶対備えてますけどね。ありますよ、そういう様な分かりやすいもの。うん。どうしても原田さんはイラストレーターっていう肩書きだし、イラストレーターって絵を描く時に、目的に合わせて絵を描くぞって認識されるけど、かなりグラフィックデザイナーにしてもいいような文字を扱ったり、自分の絵をひとつの素材にして作ってる、デザインしてる。何かの目的に合わせるように作ってる、その心意気がすごく働いてて、だからデザイナーでもある実は、…っていう所なんですけどね。

菊地_うん。デザインって言葉が結構難しくて。我々なんかが言ってるのは、グラフィックデザインって意味合いで使ってて。絵もやっぱりデザインしてるんですよ本当は。絵をどうやって描こうか、どういう手法で描こうかとか。美術作品だってそうで、どういう作品を作ろうかって、それは何かしらデザインしてるんですよね。…っていう意味合いでのデザインもあるから…。ここで言ってることで言うと、グラフィックデザイン的ってことですね。
カット絵みたいなものって、画面に対して動かせるでしょ?こう…どこにでも配置できる。けど…原田さんのグッズのデザインとか…四角い紙面的なものとかは、矩形に対してしっかり止まってるって感じ、定着感がすごく強くて、それがちゃんとグラフィックデザインとしての役割があるなぁと思いますけどね。
それが絵と構成自体がちゃんと別々に考えらてる感じがするんですよね。分かりますかね?
イラストレーションとグラフィックデザインってそういう関係があるなっていつも思ってるんですけど…。絵画って、動かしづらいですよね?角版から、こう四角い状態から。でもイラストレーションって結構、それの再配置が可能で、それをこういう風に定着してる感がある、って考えるんですけど…。それが流行が、ひとりの手によって成されていくっていうのが感じがしますよね。…パレットクラブの講義みたいになってきた(笑)

服部_やっぱデザインが上手いイラストレーターっていうのは原田さんや湯村さん。湯村さん、タイプが大分違いますけどね。原田さんはある種の典型的なパターンに、こう…はめ込んだ、ある種の典型…

菊地_オーソドックスな。
服部_オーソドックスなんだけど、全部ね。文字の扱いなんかも。なんだけど、とても素敵な世界をしている。そのふたりがめっちゃ上手いと思う。………長新太さんも上手いですよね。

菊地_あぁ、そうなんですか?
服部_デザインっていうか、絵本とか見てたら…
菊地_あぁ!配置がね!
服部_そうそうそう。100%ORANGEは上手いよね。
菊地_そうね、それは分かる。ネタの絵の落とし方も上手くて。
服部_うん。
菊地_上手いよね~。
服部_だから逆に、ちょっと…すごい好きだし…自分で頼むことない…って思うんだよね(笑)
菊地_やることないよね(笑)
服部_そうそうそう(笑)
会場_(笑)

 

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